100日で心折れるDX推進事務局

はじめに

感覚的な数字でたいへん恐縮ですが、多くの中小企業で推進される業務のデジタル化は、85~90%が失敗しているんじゃないかと考えています。中小企業に限ったことではないのかも知れません。何を持って『失敗』と定義づけるかは難しいですが、導入前に経営者やプロジェクトリーダーが思い描いていた理想の姿に到達できないことを『失敗』と定義づけるのであれば、やはり85~90%は失敗しているように思えます。
失敗の理由はさまざまありますが、大きくは以下の6つに集約できるでしょう。

  • ①サプライヤーによる扇動的なプロモーション
  • ②企業によるデジタルツールの過大評価
  • ③現場を軽視した強制インストール
  • ④経験頼みで型のない現場での人材育成
  • ⑤導入と稼働で満足してしまう手段の目的化
  • ⑥ITリテラシーの低い経営者・経営陣による妄信やカン違い

どれか一つの理由で『失敗』する訳ではなく、これらが複合的に絡み合って、プロジェクトが停滞してしまう。そして、いつの間にか組織の中で「なかったもの」のように扱われてしまうようです。
この物語は、企業がデジタルツールを導入する際に起こる事象を4コママンガを使って伝えるものです。職場でのデジタルツールの導入やIT化、システム化、デジタル化に関わったことがある方であれば、「あるある」「いるいる」と共感いただけることが多いと思います。偉そうに書いていますが、我々も吹けば飛ぶような零細企業で、デジタル化に成功しているかと問われると一点の曇りなく「Yes」と言える立場ではありません。このマンガに描いた内容は私たちにも当てはまるものばかりです。
それでも問題に対して、矢印を自分に向けて改善の道を探ってきた結果、何となく勘どころは見えてきました。その経験も踏まえて、「このポイントだけは外してはいけない」「ココはこう改善した方がいい」という内容も解説に併せて書き記しましたので、参考になさってください。

また、お気づきの通り、この4コママンガは、2019年から2020年にかけて連載された『100日後に死ぬワニ』の形式を参考にさせていただきました。さらに言うと“ワニ”以上に影響を受けたのが、スタートアップ企業の日常と実態を綴った佐々木真さんの著書『100話で心折れるスタートアップ』です。佐々木さんの本を拝読し、強くインスパイヤ―されました。「こんなに上手に注意喚起を促す方法があるのか!!!」と衝撃を受けました。そして、私たちの考えを伝えるには、この形式が最適だと判断し、法律の専門家にも確認の上、最高の敬意を持って引用させていただくことにしました。面白おかしく、「あるある」「いるいる」と笑いながら、企業でデジタル化を推進するポイントを学んでいただき、1社でも多くの中小企業がデジタル化に成功できるようになれば、我々としてはこんなに幸せなことはありません。
長くなりましたが、それでは本編をお楽しみください。

100日で心折れるDX推進事務局